G7 Summit Britain 018

Artwork created for the summit from e-waste: From left, Britain's Prime Minister Boris Johnson, Japanese Prime Minister Yoshihide Suga, France's President Emmanuel Macron, Italian Prime Minister Mario Draghi, Canadian Prime Minister Justin Trudeau, German Chancellor Angela Merkel and US President Joe Biden.

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英国で11日から始まる先進7カ国首脳会議(G7サミット)の最大のテーマは中国である。

 

力ずくの海洋進出や人権弾圧、不公正な貿易慣行など、その振る舞いは市場経済や民主主義、法の支配といったG7共通の理念とは相いれない。どのように中国を抑止するのか。行動に移すための議論を尽くしてほしい。

 

なかでも、中国の威嚇にさらされる台湾の安全確保は大きな課題だ。G7外相会合の他、日米、日欧の首脳協議などで積み上げてきた合意の上に、武力侵攻の可能性も念頭に置いた厳しい警告を発する必要がある。

 

英国が空母をインド太平洋に向かわせるなど、欧州メンバー国もこの地域への関与を強めている。「自由で開かれたインド太平洋」の推進に向け、議論を進めることが重要だ。香港の民主派排除、新疆ウイグル自治区などでの少数民族の抑圧は看過できず、G7として一致して対処すべきだ。

 

巨大経済圏構想「一帯一路」への対抗策も協議される。途上国支援は、日米欧それぞれに実績がある。透明性の高い構想を提示し、速やかに実行すべきだ。

 

G7は近年、トランプ前政権の米国と欧州の亀裂が際立ち、2019年のサミットは包括的な首脳宣言をまとめられず、昨年はコロナ禍で対面の会議を見送った。

 

だが中国やロシアなど強権国家の挑戦を受け、G7の存在意義は見直されている。バイデン米政権は、同盟・友邦諸国との連携を中国に対抗する基本であると表明した。G7をその中核として機能させなくてはならない。

 

中国への態度は経済的な結びつきの違いなどで、7カ国の間でも温度差がある。だが今回は、民主主義を守るという長期的視野に立って結束を優先させ、G7の再生を世界に印象づけてほしい。

 

新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的流行)を押さえ込むため、ワクチンの供給は喫緊の課題である。中国は自国製ワクチンの提供で影響力拡大を図っている。G7はこの分野でも指導的役割を果たすべきだ。

 

バイデン氏にとってはこれが就任後初の外国訪問であり、菅義偉首相には初の対面による多国間会合となる。ホストは欧州連合(EU)を離れた英国のジョンソン首相が務める。G7の歴史的転換点として期待したい。

 

 

2021年6月11日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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